SABICイノベーティブプラスチックス、航空機内装の耐久性、安全性や快適性を向上し、 コスト削減に貢献する最新素材を発表

SABICイノベーティブプラスチックスの航空機内装向け高機能素材は、優れた耐久性、意匠性や 軽量化に貢献する最適な選択肢である。ATAG（航空輸送業活動団体）が運用するウェブサイト Enviro.aeroによると、効率的な運航を可能とすることは、航空機業界の将来にとって、環境面だけでなく 経済面においても非常に重要であるとしている。航空機の運航コストにおいては燃料が大部分を占めるため、 各航空会社は航空機の軽量化技術の促進に強い興味を持っており、最適な軽量化ソリューションを積極的に 模索している。この結果、燃料消費量が削減され、CO2排出量1も低減するとしている。

SABICイノベーティブプラスチックスのグローバル・プロダクト・マーケティングマネージャーの レナード・マーケスタインは、「規制当局や乗客は、航空機に対する要求を高めており、最近では エコノミー座席の座席熱放出性特別条件に関する法案が審議されています。」と述べており、また 「当社は、新たな特殊素材を投入することで製品ポートフォリオを拡大し、厳しい要件や快適性、 安全性、環境性能や規制に準拠した航空機内装のデザインや開発に貢献すると共に、顧客の成功に 向け尽力しております。」と話している。

環境責任と安全性の強化

平均的に、航空機は1時間の飛行で重量1kg当たり約0.03kgの燃料を消費している。民間航空機は 年間約5,700万時間飛行することから、フライト毎に1kg削減できれば、年間で約1,700トンの燃料と 5,400トンのCO2を削減することができる(1)。SABICイノベーティブプラスチックスの航空機産業に 向けた最新の高機能素材は、多くの航空機に採用されることで多くのメリットを提供する。 例えば、Lexan* F6000シートを従来のポリ塩化ビニル／アクリル製品に代えて座席フレームに使用すれば、 航空機の重量を約23%削減することができ、1航空機190座席とすると80kgの軽量化が可能となる。 さらにLexan F6000シートは、優れたFST特性を発揮しFAA25やABD-0031規制に準拠している。

SABICイノベーティブプラスチックスの新素材は、軽量化や排出量削減に寄与するだけでなく、 非ハロゲン化難燃素材として、OSU、DIN/VDE、FAR、FAA、ABDおよびFSTの環境規制に準拠する。

• 最新Lexan XHR（超低熱放出性）6000シート:Lexan XHRシートは、従来のポリ塩化ビニル／アクリル製品 に比べ最大11%の軽量化が可能で、航空機座席、コックピット裏張り、窓枠、ドアカバー、その他の 内装部品における現在および将来的なOSU要件を満たすと共に、より優れた燃費を実現する。 仏ZODIAC AEROSPACE社の1事業部である仏SICMA Aero Seat社は、Lexan XHRシートがFSTおよび OSU65/65熱放出基準に準拠し、優れた加工性や美しい色合いを持つことから、新型ビジネスクラス座席に 採用した。

• 最新炭素繊維強化Ultem*樹脂:SABICイノベーティブプラスチックスは、 炭素繊維を40%充填したUltem樹脂を展示紹介する。これは、優れた強度や従来製品の2倍の流動性を 特長として、薄肉成形部品の加工性や生産効率を向上し、機体の構造部に使われる航空機用アルミダイキャスト を代替することで、最大50%の軽量化と40%の高強度化を可能にする。アプリケーションとしては、 構造部のサポート部品、肘掛、フットレスト、コーヒーメーカーのシャーシといった調理機器や トレーテーブルアームなどがある。展示会では、米Vaupell社と共同開発中のトレーテーブルアームを 展示する。

• 最新透明Lexan F2000Aシート:この最新シートは、優れた FST特性や耐衝撃性を発揮し、2mm厚と3mm厚でFAR 25.853およびABD 0031基準に準拠する。 この素材は、透明性が要求される窓、ライト・ディフューザーやサインへの使用が想定される。 Lexan F2000Aシートは、DIN/VDE 0472 Part 815に基づき環境的に優れた難燃性を提供する。さらに、 定評あるLexan F6000シートの次世代製品が今年後半に発表される予定で、サーモフォーミング工程に おける優れた溶融強度と表面品質を提供することに加え、DIN/VDE 0472 Part 815に基づいた環境的に 優れた難燃性を提供する。

美しく耐久性のある内装の設計

SABICイノベーティブプラスチックスの素材は、飛行環境を大きく向上させることができる。 航空機の乗員および乗客共に、SABICイノベーティブプラスチックスのColorXpressサービスによって 調色された色合いをはじめとする、美観に優れた内装を楽しむことができる。成形時の着色により塗装が 不要となり、関連コストを省くと共に揮発性有機化合物（VOC）の発生を抑えられる。また、 SABICイノベーティブプラスチックスの素材は、保守点検を簡素化することでメンテナンスコストを低減し、 厳しい環境下においても航空機部品の長寿命化を促進する。

• 最新透明Lexan FSTコポリマー:Lexan FSTコポリマーは、透明素材が利用可能で、 優れた意匠性を提供する。例えば、同樹脂とLexan XHRシートを組み合わせ、パーソナルサービスユニット、 窓枠や入口トリムなどの部品と色を合わせることで、2次塗装によるコストの削減や環境負荷を低減することが できる。また、ハードコーティングすることで内装用途に求められる基準を満たすこともできる。 Lexan FST樹脂は、現在および将来的なOSU基準を満たす。

• 最新Ultem 9090樹脂:次世代の低熱放出性Ultem樹脂は、優れた延性、 耐薬品性やUV安定性を発揮し、最小限の性能劣化で25年以上のクリーニングサイクルに耐えることができる。 Ultem樹脂は着色が可能なため、塗装工程が不要でFSTおよびOSUの熱放出基準を 満たすことができる。

コスト効率に優れたラピッドプロトタイピングに利用されるUltem 9085樹脂

SABICイノベーティブプラスチックスは、同社の素材を用いた最新用途の開発を効率化するため、 ベルギーでラピッドプロトタイピングを手掛けるMaterialise社と協力している。Materialise社は、 同社の製品ラインに低熱放出性Ultem 9085樹脂を採用することで、他の熱可塑性樹脂よりも優れた 比強度を持ち高機能かつ軽量な難燃性熱可塑性樹脂を顧客に提供している。Materialise社は、押出法に よって樹脂を積層させ造形する溶融堆積モデリング技術を用い、CADデータからUltem 9085樹脂製の 3Dオブジェクトを作成している。この技術は、迅速かつコスト効率に優れた部品製造が可能で、 金型が不要なため小ロット生産に理想的な製造技術であり、航空機内装用途に適している。 これらのUltem樹脂もSABICイノベーティブプラスチックスのブースで展示紹介される。

* SABIC Innovative Plastics IP BV の商標です。